2017年5月30日火曜日

ビジネスホテル 嘔吐の処理

今回は、ホテルの清掃にとって、いやホテルにとってもかなり迷惑な嘔吐についてです。
ビジネスホテルの客室清掃については、前回までに話したように、決まった時間までに客室を商品として仕上げてホテルに提供するために、清掃パート員たちが想像を絶する早くて無駄のない動きでがんばっています。そんな中、ドアをあけた時に、かけ布団の上やカーペットの上に嘔吐物が放置されてるのをみかけたらどういう気持ちになるか、想像したことはありますか。もうね、お客のやったことだけど、怒りと恨みを覚えます。清掃員は本当に少ない時間を上手にやりくりして、30秒単位で無駄を排除して、4時間休憩無でやってるんです。この汚物の処理にどれだけ時間がかかるか!1部屋まるまる掃除して仕上げられるくらい時間がかかるんです。かけ布団にやっちゃってる場合はもう大変。

処理手順を紹介しておきます。

 まず、のっかってる汚物を処理して拭き取ったら、布団カバーを外します。これが、普通は中側から8か所くらい紐でくくってカバーと布団を固定してるのでほどきます。カバーを取る時に、大量の羽毛が舞い散ります。カバーはクリーニングにだします。羽毛布団はその箇所に熱湯をかけて洗剤で軽くこすってタオルでふいたら、除菌殺菌スプレーをかけて乾かします。これで終わりではないんです。羽毛布団をかわかして、予備の布団カバーを倉庫に取りに行って、羽毛布団とくくりつけて元通りにします。責任者に許可をもらったりしながら行うので、かなり時間がかかってしまうことは想像できると思います。
床の場合は、ちょっとやりやすいけど、熱湯で処理したりでやっぱり大変です。

 しかも、大抵の場合は、処理しても独特のにおいが残ってしまうので、オゾン脱臭機等の消臭処理を行わなければなりません。パートのおばちゃん達は熟練の技術の割には安い時給で一生懸命みんながんばってるんです。これをくらうと、短くても余計に30分から1時間はロスします。つまり、通常の終了時間からそのまま後ろにズレていきます。子供を迎えに行く時間に遅れてしまいます。普段よりも忙しくなったうえに、5時間から6時間ぶっ通しでの激務になります。そのうえ、大変な処理を褒められてねぎらわれることはなく、逆に遅れたことに愚痴をいわれる可能性の方が高いです。パートさんたち本当にありがとうございます。価格競争で頑張って安い宿泊費を保つように運営してるビジネスホテルにとってもかなり迷惑な行為です。ホテルだから平気でやるけど、自分の家だと絶対にやらないんじゃないかと思います。
 みなさんも、お客として泊まって吐きそうになったときは、この話のパートさんの苦労を思いだして、ぐっと我慢してトイレの中にリバースするようにどうか宜しくお願いします。それでは、またっ!


2017年5月26日金曜日

作業内容の工夫

今回は、作業内容を見てみよう

ドア開け

これは、作業というのもばからしいと思うかもしれないが、なかなか重要な作業なのだ。
現場や会社によって若干やり方は違うと思う。まず、作業開始時にどの部屋がチェックアウト済みでどこが、まだ在室で、どこが未使用で空室なのかを責任者からの指示か、インジケータにより把握する。ここで、もし勘違いやミスで在室の部屋を開けたらどうだろう。お客は当然、誰も入ってくることがないという前提で、部屋でゆっくりくつろいでいる時に、知らない人が入ってくるとびっくりするだけでなく、かなり不快感をもつだろう。なので、この作業は、急いでる時でも、絶対間違えないようにゆっくり落ち着いて作業する。これをやっちまうと、どんなに丁寧に清掃しても全く取り戻せないほど、ホテルとお客に迷惑をかけてしまう。

ゴミだし

最近は、分別が厳しくこのゴミ出しにも非常に時間がかかってしまう。部屋に入ってゴミを回収すると同時に、ポケットから新しいゴミ袋をセットする。そして、缶や瓶を部屋の入口付近に置いておく。この作業で注意することは、連泊さんの私物を間違えてすてないことである。荷物が何もないのでチェックアウトだと思って私物を全て処分してしまうことがあるので要注意。また、逆に、ホテルの貸し出し品を返さずにチェックアウトしているのに、備品があるから勝手に連泊だと思い込んで、捨てずにそのままにしてしまうことがある。この作業で重要なのは、その部屋がチェックアウトなのか連泊なのかをしっかり確認して間違えないようにすること。泊まる時は、わかりやすいように捨てるものはゴミ箱に入れるようにしよう。

シーツはぎ

シーツはぎは、実際の現場ではゴミ出しと同時に行う作業である。とにかく、シーツ類をひっぱってはぎとり、タオル類を一か所にまとめておく。この時、重要なのはシーツの上にあるものをシーツと一緒にひっぱりこんでリネン回収にだしてしまうことであるのでこれに注意する。泊まるときは、シーツの上にものを置きっぱなしにしないように注意しよう。
こんな感じで、清掃パート員は日々がんばっているので、泊まる時は、協力をお願いします。

ホテルに宿泊する時は、ゴミはできるだけゴミ箱にいれる。入らない時は、ゴミ箱の近くにおいて、メモ帳の紙に”捨ててください”と書いて置く。シーツの上に物を置きっぱなしにしない。
これだけで、かなり作業時間が、短縮されるはず。
それでは、またっ!

2017年5月24日水曜日

客室清掃パートのコツと考え方2

今回は、実際の作業面から見てみよう。

作業時間のイメージをしっかりもとう!

ベテランは、どんな状況でも絶対に与えられた部屋数をこなす。
全ベテランに共通していえることは、時間を常に意識しながら仕事をしているということだ。大まかな、リミットを設けている。9:00~13:00が勤務時間だとすると、ドア開け、ゴミ回収、シーツはぎ&回収をおわらせて、
10:00までには洗い作業にとりかかる。
11:00までに洗いを終わらせて、シーツを搬入してベッドメイクをスタートさせる。
11:40までにベッドメイクを終わらせて掃除機作業に入る。
12:10までにセッティングと最終仕上げに入る。
12:50までには作業完了
こういった、おおまかな作業時間のイメージがもてているかどうかが、非常に大切だ。
こうすることで、作業が遅れ気味だと、無理やりでもその時間にあわせるように早めに作業を調整する。たとえば、プチハプニングで洗いに入るのが遅れた時は、洗いの作業を一部はしょってでも、目標時間にもっていくように努力する。この時大事なのは、作業には省略してもいい内容と絶対手を抜けない内容がある。ベテランはこれをしっかり把握しているのだ。ベテランは、仕事は早いが決して仕上がりがめちゃくちゃきれいなわけではないことをしっておいてほしい。この仕事を始めたばかりの人は、まずベテランがどこを手を抜いて、どこは絶対にしっかり仕上げてるのかを見て盗もう。では、またっ!

2017年5月23日火曜日

客室清掃パートのコツと考え方

前回、この仕事のコツは、清掃という名前だけど”清掃業ではなく製造業”と考えるべしといったけどこれを深く掘り下げてみようと思う。清掃するというスタンスで仕事に取り組むと、どうしても全てを徹底的にきれいに、妥協なく掃除して仕上げるという意識になってしまう。ところが、これを割り切ってお客に提供する製品を作るという考えで取り組むと、まずは約束の時間までにそれを仕上げて提供することを第一に考えるはずで、暇な時や時間に余裕がある時に、普段から気になっているところを入念に掃除するようになる。この考え方ができるようになると、仕事中は、常に時間を気にしながら動くようになる。これで、内容はともかく決められた部屋数はこなせるようになる。あとは、そのクオリティーを高めていく。これを1年くらい続けていると、ほぼ間違いなく少々のハプニングがあっても14部屋以内なら時間内に仕上げることができるようになる。
 仕事の遅さに悩んでいる人は、段取りや掃除道具を変更する前に心理面を変えてみてはどうだろうか。

 誰の為、何の為の客室清掃か?

こんなことを考えたことがあるだろうか。通常、清掃であればとにかく掃除するところをきれいにすれば一番喜ばれて褒められると思う。しかし、客室清掃という仕事でお金をもらう以上、誰のために、そして何のためにこの仕事を行うのかを考える必要がある。お金の流れを考えると、
お客さんが宿泊の対価としてホテルへ料金を払うホテルが部屋を仕上げて提供してくれる対価として払う清掃会社へ払う⇒清掃会社が部屋を仕上げて提供する実務を行ってくれる清掃員に給料として支払う
という流れになる。つまり、清掃会社としては、ホテルへ仕上げた部屋を提供して、その対価のお金をもらうのである。求めていないところまでを徹底的に掃除して決められたチェックイン時間までに部屋を提供できないのであれば、パートさんがいくら部屋をきれいにしても清掃会社に感謝されることはないであろう。
 この作業を行うとどうしても時間がかかって遅くなるので、早くできるようにする努力をするのではなく、この時間内にできる作業はここまでなので、これはまた暇な時にしよう。といったように、常にまず時間ありきで作業を行うようにしてみたら、この仕事が、少し簡単になると思う。

2017年5月22日月曜日

客室清掃パートのコツと考え方

 前回の話で、ビジネスホテルのシングルルームの客室清掃について、経営者からみた清掃パートの”人並みとは4時間で12部屋以上を客室としてホテルに提供できる状態にすることができる能力”と定義したが、今回は、これをもっと掘り下げてみたいと思う。これは、時給800円程度で4時間で12部屋は仕上げてもらわないと、会社的には赤字でパートさんの給料を生み出すことしかできない状態であるためだ。
 実際うちのパートさんたちについてみると、最初かなりもたついて、がんばっても8部屋ぐらいしか仕上げられない人が多い。だけど1年くらいやってるうちに、トラブルがなければ12部屋を仕上げる職人になっているケースが多い。

 この現象は、人間の自然な心理で生まれるのだ。

清掃のパートなので、家を掃除する延長の仕事と考えて入社する。
清掃のパートなので、とにかくきれいにすることを考えて仕事をする。
清掃のパートなので、清掃することが仕事だと考える。
 つまり、客室清掃という名前で求人するので、普通は清掃のパートだと考える。そして、きれいにすることだけを考えて仕事をする。これは、人間の至って普通の心理である。だけど、実際には、お客がチェックアウトしてからチェックイン時間までに、部屋を仕上げて、お客がお金を払って泊まれる状態にしてからホテルに提供する仕事なのである。
 客室を製品、つまりパン屋さんならパンみたいな商品として考えなければならない。
決められた時間内に、商品をお客のオーダーに合わせて作って提供する。この流れは、

清掃業ではなく製造業

なのである。きれいにすることは大事だけど、まずは計画された部屋数を決められた時間内に仕上げることが最優先である。この心理に気づくと全く別次元の仕事ができるようになる。これが、この仕事の最大のコツである。
次回に続く

客室清掃パートの人並みとは

客室清掃のパートをやってる人やこれからやろうとしてる人にとって、「人並みには仕事をしたい」というのは考えたことがあるのではないだろうか。ここで、人並みってどのくらいか考えてみたいと思う。ホテルの客室には様々なタイプや仕様があって単純に基準は作れないと思うが、経営的にみた基準は一応存在する。いろんなタイプがありすぎて全部は紹介できないけど、一番みんなにあてはまるビジネスホテルについてみると、まずシングル、ダブル、ツイン、トリプルに分けられる。そして、シーツカバーのかけ布団の下のやつをアッパーシーツと呼ぶけど、それがかけ布団をくるんで中に入れるデュベか襟元を折り返すだけのコンフォーターにわかれる。あと、やることは、ドア開け、窓開け、ゴミだし、シーツはぎ、リネン回収、洗面浴槽トイレ洗い、リネン配り、ベッドメイク、掃除機、共用廊下等掃除、仕上げ拭き上げ、アメニティセットと部屋内備品等セッティング、セルフチェックまでが一般的な作業内容である。
 シングルタイプ、コンフォーターで標準作業だと1部屋17分、4時間で14部屋が熟練者、つまり職人です。12部屋は経験者と語れるレベル、10部屋ぐらいしか仕上げることができない人は素人レベルという扱いになる。これは、今日本のこの業界で、この仕事は800円程度の時給で4時間で最低でも12部屋を仕上げる計算で評価されている。そのため、人並みというのは、4時間で12部屋を仕上げることができるレベルであるといえる。しかし、実際に作業したことがある人は感じていると思うが、この部屋数をこなすのは非常に大変で、二度手間にならないようにしっかり計画した段取りとオリジナルの道具の工夫等でやっとこなせる領域だと思う。ちょっと長くなるので、またのつづきで

2017年5月21日日曜日

ホテルの客室清掃について

どうも、はじめましてホテルの清掃を行っている”責任者”です。
今日から、ホテル清掃という仕事について思ったことを述べていきたいと思います。
 まず、ホテル清掃の紹介をしていきます。客室、共用部分、ロビー、大浴場、コインランドリーコーナー、自販機コーナー、駐車場等様々な場所の掃除を行います。しかし、ほとんどの場合、客室清掃を行うスタッフが全てを行います。しかも、お客さんがチェックアウトしてから次のお客さんがチェックインするまでに完璧に仕上げて、商品として提供できる状態にします。つまり、自分の納得いくまで時間をかけて丁寧に掃除するといった業種ではなく、決められた時間までに規定以上の品質にして部屋という商品をホテルに提供する、いわば製造業に近いと思います。 ホテルによっても違いますが、ビジネスホテルのシングルルームだと1部屋あたり17分程度で4時間で14部屋は仕上げる計算で請け負っています。これが、この仕事の最大の難しさともいえます。よく、パートさんの面接で”体を動かすのが好きで、きれい好きなのでこの仕事に向いていると思い志望しました。”といった話を聞く。世間でもホテルの清掃というとこういうイメージをもってる人がほとんどだと思う。しかし、現実は4時間で14部屋仕上げるという驚異のスピード感をもって動かなくてはならない。4時間で8部屋仕上げるぐらいまでが普通に行ってこなせる仕事量で、これを超えると極端に忙しくて難しくなる。
 つまり、パートのおばちゃん達がいかにすごくて大変な仕事をこなしているかを、1人でも多くの人へ伝えて、これからこの仕事を考えている人へ参考になる話をかいていこうと思います。

ビジネスホテル 嘔吐の処理

今回は、ホテルの清掃にとって、いやホテルにとってもかなり迷惑な嘔吐についてです。 ビジネスホテルの客室清掃については、前回までに話したように、決まった時間までに客室を商品として仕上げてホテルに提供するために、清掃パート員たちが想像を絶する早くて無駄のない動きでがんばっています。...